黒薔薇


 それはまるで深い闇
 私は周りも見えずに歩き回り
 小さな刺で肌を痛める

 右に倣えのこの国で
 思い通りに生きるのは酷く難しい
 右に倣えのこの国で
 我が道を進むのは難しい
 その期を待って
 私は闇に身を投じた
 闇の花は私を捕らえ
 小さな刺で肌を切り裂いた
 私はそれでも耐えた
 耐え抜いた
 闇に染まる事無く
 闇の花園を迷いながら
 一縷の光を見詰めていた
 

 闇の花園の先で
 私に手を差し延べてくれたのは
 私にとっては闇でしかない整えられた世界で正当な英雄
 真の「正当」は「異端」さえ受け入れられる者だと
 私は初めて知ったのだ
 対外戦争で国家に認められるような
 “素晴らしい”戦績を上げ
 彼は今国を守る戦闘集団を纏めている
 そこの戦士達はまるで――可憐な花

 真っ白な花に囲まれて私は微笑む
 いつしか白い花さえ赤く染めやしないだろうか
 そんな想いを押し込めて
 私は自分を紅に染めて
 耽美で華麗な大輪の花を纏う


 この純粋無垢な者達を
 この白い花を守れるのならば
 命を懸けても良いと思った……





 闇の中に咲く薔薇は
 美しく妖しく私を切り付けた
 闇に迷い
 闇から抜け出した私の身体は紅かった
 彼女の白い花すら
 私はいつか汚すだろうか
 


 それでもただ守りたいのは
 汚れのない雪のような純白の花たちだから


「黒薔薇」のような闇と戦う。
異端を認めない世間に背を向けて。
美しいものを守り続けたい。

琴音の、密かな誓い。

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