迷子


 森は暗くて
 月も星もなくて
 目の前には道もない

 子供心に感じた“死”は
 とても乾いた感じがした

 暑くはない
 でも寒くもない
 誰もいない
 闇に閉ざされた
 それは 暗い森

 誰もいない
 まるで
 海の底みたいに
 ざわざわと波立つ
 木々の音だけが
 耳の奥に響いた


 思い出すのは
 真っ赤な血
 決闘の筈なのに
 それは汚されて

 ――親父は最強なのに

 不思議と
 真っ赤な血を流していても
 親父は死なないと思ってた
 それでも親父は最強だと
 信じていた


 「あたいやっぱ頭悪いかも」
 「どうして?」
 「森で迷っても親父が……」


 迎えに来るって信じていた
 復讐の想い一つを胸に
 生き抜いて
 復讐の想い一つを胸に
 森を抜け出した

 復讐の想い一つを胸に
 闇を駆けて
 見出だした答えは
 救いだった

 復讐を誓ったあの男は
 親父の強さに救われていた

 なんだ……
 そういうことか……

 「マリア、あたいやっぱ頭悪くないかも」
 …………
 …………
 …………
 「…………は?」

「迷子」になった幼い日。
不安と怒りに総てを見失ったけれど。
真実は、思い掛けないところにある。

カンナの、密かな発見。

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