誰も知らない。
 この道の行く先も、この感情の正体も。



   想う人々



 明治十一年八月――
 東京の街は騒然とした。腕に擲弾射出装置<グレネードランチャー>という大型銃を仕込んだ隻腕の大男・鯨波兵庫が、街中で銃を乱射して暴れる事件が発生したのだ。警察署も崩壊し、街の入り口の一部家屋も破壊された。当然、負傷者も多数出て、診療所や病院に次々に運び込まれた。街の一角にある小國診療所にも、大勢の怪我人が担ぎ込まれ、医師の小國玄斎と助手の高荷恵は治療に掛かり切りになっていた。
 この夏、東京は大陸からやって来たある男を中心とした様々な事件が勃発した。それは、人気の牛鍋屋“赤べこ”に大砲が撃ち込まれた事に始まった。続いて、大きな剣術道場と警察署長宅が同時に襲撃された。首謀者の名は雪代縁。彼は、愛する姉を殺害した男・緋村剣心を憎み、剣心に“人誅”を下すために無関係の人間を強襲した。“人誅”の仕上げは、剣心の居候している神谷活心流剣術道場での戦い、そして、剣心が最も心を許している女性・神谷薫の殺害だった。心臓を貫かれた薫の遺骸を前に、剣心は絶望の谷に突き落とされ、生きる気力を失って浮浪者の溜まり場である落人群に流れ着いた。憔悴した剣心を立ち上がらせる事は誰にも出来なかった。そんな中、街中での鯨波の暴走に対し、神谷道場の一番門下生である少年剣士・明神弥彦は果敢に戦った。しかし、体躯の差も兵力の差も歴然。弥彦の危機に弥彦に想いを寄せる少女・三条燕は、剣心の助けを願った。燕の声は剣心を突き動かし、剣心は漸く立ち上がった。
 激闘の末、鯨波を抑えた剣心と弥彦は、そのまま倒れて小國診療所に運ばれた。診療所では恵が懸命に治療を施し、一命を取り留めた。
 現時点では剣心はまだ知らない事だが、薫の遺体は精巧に作られた人形であり、薫の生存は確実視されている。警察は、これらの騒動の中心人物である縁の居場所を特定した。東京湾に浮かぶ孤島――恐らくそこに、薫も監禁されている筈だ。鯨波事件の四日後に警察は島に乗り込む事を決定した。剣心、弥彦の回復を待ちたいところではあるが、そうもいかない。完治とまではいかないまでも、動ける状態になれば、彼らと元江戸城御庭番衆の御頭であった四乃森蒼紫、京都御庭番衆で御頭を名乗っている巻町操、それに恵は、警察と共に島に向かう事になっている。
 剣心らの回復――それと同様に、恵はもうひとりの人物を待っている。相楽左之助。剣心の親友である彼は、剣心が落人群で歩みを止めた後、怒り任せに剣心を殴りつけて東京を去った。そのまま、行方知れずだ。薫の生存は解った。剣心も立ち上がった。縁との再戦も決まった。その戦いの場に、彼がいなくてはならないと恵は考えている。この事件に最初から関わっている彼には、総てを見届ける権利がある。
 それに。
 恵は、この事件に決着がついたら、故郷の会津に帰る事を決めている。福島県令直々に恵に助けを求めてきた。恵も、生き別れた家族を探すために、いずれは会津に帰ろうと思っていた。その時期は来たのだ。ただ、この事件の終結には立ち会いたい。それだけは譲れないと、県令に時間を貰っている。このまま左之助が戻らなかったとしたら、別れも告げぬまま帰郷する事になる。二度と会う事はないだろう。出来れば、それは避けたかった。それは恵の個人的な希望でしかない。しかし、それは恵の強い望みだった。

 鯨波事件から一夜明け、巳の刻を過ぎた頃、診療所にひとりの男が訪れた。がらりと玄関の引き戸が開く音が響く。出迎えたのは、玄斎だった。
「……四乃森君か」
 玄関に立っていたのは、蒼紫。玄斎の声音は、はっきりとではないが期待していた人物ではない事を示していた。
「誰か来るのか?」
「いや……。それで、何か用かね?」
 玄斎は常に好々爺然としているが、蒼紫に対する眼差しはどこか鋭く、言葉にも険があった。だが、蒼紫は気にする素振りもなく顔色ひとつ変えずに玄斎を見る。いつもと変わらず表情のない、冷たい視線を向けていた。
「高荷に……いや、傷薬を分けてもらいたい。大した事はないが、操が怪我をした」
「道場かね? わしが診に行こう」
「誤って木から落ちて、全身を擦り剥いただけだ。わざわざ煩わせるものでもない。高荷家秘伝の傷薬がよく利くと以前話に聞いている」
「それで、御頭の君が来たというのかね。操君ではなく。大体、御庭番衆にも傷薬くらいあるんじゃろう?」
 蒼紫はもう御庭番衆の人間ではない。隠密江戸城御庭番衆は、明治維新の折に既に解散している。一方の京都御庭番衆は、規模こそかなり縮小しているが、現在も京都市中守護のために活動しており、正式ではないものの、操が御頭として纏めている。とはいえ、蒼紫は今でも御庭番衆の面々から尊敬を受け、御頭であった頃と変わらずに敬われる存在だ。その蒼紫が、擦り傷を作った程度の操のために、わざわざ薬を貰いに足を運ぶ事など、考えられない。操が自分で取りに来れば良いのだ。それに、玄斎の言う通り、御庭番衆では薬の開発も行っていた。利きの良い傷薬くらい幾らでもあるはずだ。
 別に目的があると勘繰られても仕方がない。
「薬が欲しいのか、恵君に用があるのか……どっちじゃね?」
「…………後者だ」
 僅かに逡巡したが、蒼紫はきっぱりと言った。玄斎は冷ややかな眼で蒼紫を見詰めた。
「今はおらんよ。往診に行っておる。昨日の事件で、民間人にも被害があったからね」
「そうか」
「少し、話をせんかね? どの道、薬を取りにきたのも嘘ではなかろう。分けるから、上がりなさい」
 玄斎は蒼紫に背を向け、すたすたと廊下を歩き出した。蒼紫は玄斎に従い、靴を脱いで診療所に上がった。
 通されたのは、診察室だった。薬品の匂いに混じって、石鹸の匂いが仄かに香る。恵の髪の匂い。隣りの部屋からは、男達の話し声が聞こえる。昨日の事件で運び込まれて入院している警察官達だ。痛み止めを打って落ち着いているらしく、雑談に興じている。時々混じる女の声は、見舞いに来ている警察官の妻達だろう。
「座りなさい」
 つっけんどんに、玄斎は言った。蒼紫は小國玄斎という男をよく知らない。東京に来て数日、何度か診療所を訪れて顔を合わせているが、挨拶程度しかしていない。恵や弥彦達からは穏やかで優しい男だと聞かされていたが、蒼紫を見る眼は常に冷たく、態度も硬い。緊張しているようにさえ見える。だからといって別段気にかける事はなかったが、こうしてふたりで話すとなると、その態度がやや気になった。何を考えているのか図りかねる。取り敢えず、蒼紫は黙って椅子に腰を下ろした。玄斎も、蒼紫の正面に座る。
「……あと三日、じゃな」
 それが、縁の拠点としている孤島へ向かう日を示している事は明白で、蒼紫は頷いた。
「順調に事が進んだとして――きっと、薫君も無事に救出出来るとわしは信じているから、この戦いに幕を引いて落ち着く事を考えると、恵君が会津に帰るのは恐らく九月早々という事になるじゃろうな」
 蒼紫が目の前にいるというのに、視線も合わせず、独り言のように玄斎は呟いた。
「会津……へ……?」
「帰るんじゃよ、会津にな。医者として会津を救って欲しいと頼まれておる。恵君は、この一件に片が付いたら会津へ帰ると約束した」
 会津、と、蒼紫は繰り返す。以前からその可能性はあった筈だが、失念していた。考えていなかった。その事について。尤も、考える暇も必要もなかったといえばそうなのだが。
「だから、左之助君には早く戻って来て欲しいし、もっとしっかりしてもらわんと困る」
「相楽、左之助……?」
 前触れもなく出て来た名前に、蒼紫は僅かに表情を変える。何故、突然恵が会津へ帰る話を始めたのか。そして、そこに相楽左之助の名前が出てくるのか。益々玄斎の考えている事が図れず、蒼紫はただ玄斎の挙動に集中した。嘘、感情の動き、考え、そういったものは、声や動作に表れる。
「昨日から、恵君は随分とそわそわしている。落ち着きがなくてな。薫君救出までの期限が決まって、緋村君や弥彦君の回復が間に合うか心配なんじゃろうが……それまでに左之助君が戻ってくるかが気になっているようじゃ」
 蒼紫が東京に来た時、剣心は既に落人群に落ち着き、立ち上がる事を放棄していた。左之助は剣心に愛想を尽かし、何処かへ去って行ったと蒼紫は聞いている。東京に来てから、左之助には会っていない。操は弥彦と共に落人群へ赴く途中、東京を発つ左之助に会ったようだが、蒼紫はそれを話に聞いただけだった。もう会う事もないだろうと思っている。薫生存の可能性も知らず、剣心が鎖を断ち切った事も知らない。何処にいるかも解らないあの男が、戻ってくる要素がない。そんな男を、恵が待つ理由はなんなのか。事の顛末を見届けさせたいのだろうか。
 蒼紫が黙っていると、玄斎は真っ直ぐに蒼紫と視線を合わせた。
「わしは……左之助君に、恵君と一緒になって欲しいと思っておるんじゃよ」
「ほう……」
 そうか、としか言いようがない。何故、わざわざふたり切りになる時間を作ってまでこの話をこの男はするのか。
「わしは、恵君を娘のように思っている。助手としても優秀な可愛い娘を手放すのは惜しいが、本当の家族を見付けるためにも、会津へ行く事は重要な決断じゃ。それは応援したい。だが、ひとりで行かせるのは心許ない。あの子はすぐに無理をしてしまう。強がってはいるが、弱いところもあるし、人に甘える事が苦手なんじゃ」
「そうだな」
 それは理解出来る。真面目で気丈だが、不器用な女だ。蒼紫はそれをよく知っている。恵との付き合いはこの老人より長いのだ。玄斎は眼を吊り上げた。
「……恵君を知っておるような口振りじゃな。……いや、知っておるんじゃろうな、きっと、君は」
 言葉に現れる棘を隠そうともしない。何が言いたいのか。煽っているのか。怒らせたいのか。蒼紫は、表情を変えずに玄斎の真意を探る。玄斎は蒼紫を暫く伺った後、もう一度口を開いた。
「左之助君は、恵君が弱みを見せる数少ない――多分、唯一ともいえる存在なんじゃよ。左之助君も、恵君の事をよく見ている。先日……あぁ、君達が東京に遊びに来て、浅草に行った次の日だったかな。左之助君が恵君の様子がいつもと違う事に気付いて声を掛けたんじゃ。恵君は、『少し頭が痛い』と答えた。熱中症気味だったんじゃな。少し休ませたら回復したようじゃが……恵君は普段、不調を口にしない。限界まで隠して頑張ろうとする。そういう恵君の不調に気付けたのは左之助君だけだし、恵君が自ら不調を訴えるのも左之助君だけじゃ。左之助君には、恵君を側で支えて欲しいと思っておる」
 淡々とした口調に意思が宿る。玄斎は心から、左之助を信頼している。
「恵君は緋村君に想いを寄せておったようじゃが、左之助君の方が心を許しているように見える。左之助君と一緒になった方が、幸せになれるじゃろう――と、わしは思っておる」
 それが、恵の父親代わりとしての考え。願い。
 左之助に恵が気を許している事は、蒼紫も察していた。恵は、左之助に対してはよく笑う。蒼紫が見た事もないような表情をよく見せる。僅か数ヶ月でこうも変わるものかと驚いたのも事実だ。
「だから……君には、あまり恵君に近付かんで欲しい。君の存在は、恵君には刺激が強過ぎる」
 一瞬迷いを見せたが、脈絡のないようなその言葉を口にした玄斎の意思を汲み取る事は、蒼紫には容易かった。
 恵が玄斎に何処まで関係を話しているかは解らない。玄斎の言葉を借りるなら“強がりで甘える事が苦手”なあの女が、何から何まで話しているとは思わない。だが、ふたりの関係が思わしいものではない事は玄斎も理解している。少なくとも、剣心や左之助が知っている程度の事は聞き知っているだろう。
 恵と蒼紫は、ある邸で出会った。邸の主の表の顔は青年実業家。しかし、裏では新型阿片を密売し、儲けた金で兵器を手に入れて武器商人として成り上がろうとしていた汚い男だ。男は武田観柳といった。観柳は恵を邸に軟禁し、阿片の精製を強要した。観柳にとって、恵は金の卵を産む雌鳥も同然だった。警察に狙われている自身の安全と、恵の監視のため、観柳は多数の私兵を抱えていた。そして、昨年の冬、観柳は監視役として江戸城御庭番衆の残党である蒼紫と四人の部下を雇った。春になって恵が邸を脱走し、逃げ込んだ先に偶然居合わせた剣心と左之助に助けを求めた事で観柳の悪事は明らかになり、恵を救うために乗り込んできた剣心と蒼紫は対峙した。観柳の暴走で蒼紫は部下達を失ったが、剣心達は無事に恵を救出。観柳は逮捕された。
 蒼紫と恵の関係は、監視する者とされる者。蒼紫は恵を苦しめた。恵は少なからず蒼紫を恐れていた筈だと、玄斎が考えるのは無理からぬ事だ。京都で明冶政府転覆を狙う維新志士・志々雄真実を剣心が討伐した際に、紆余曲折あって蒼紫は剣心と共闘。この一件を経て京都御庭番衆の本拠地である料亭葵屋に落ち着いた。恵は激しい戦いで重傷を負った剣心の治療のために京都に駆け付け、蒼紫と再会した。この頃から、蒼紫との関係は修復されたように見えている。恵を見張る者ばかりの閉鎖された空間から解放され、中立的な立場にある他人が介入するようになった事が恐怖心を和らげたのかも知れない。何にしろ、恵と蒼紫は表向きは平然と接する事が出来るようになった。だからといって、蒼紫が恵を監視していた過去がなくなるわけではない。父親代わりの玄斎からしてみれば、蒼紫は恵を苦しめる事に加担した男に他ならない。
 近付かせたくないという玄斎の想いが、蒼紫にも理解出来なくはなかった。
「君は頭が良い。知識も豊富で、常に冷静じゃ。だから、今回薫君の遺体が偽者である事も見抜いた。それに関しては、感謝しておる。だが、その分恵君は随分と苦しんだ。自分の判断が剣心君達を追い詰めてしまった事を、今でも悔いている。落ち着いているように見えるじゃろうが、ひとりで傷付いておるよ。君が悪いわけではないが……君といる時の恵君は、漸く取り戻した穏やかさを失う。あの邸から救い出されて、この診療所に来て……初めの頃は時折辛そうな顔を見せる事があったし、眠れない事も多かったようじゃ。それが、時間を掛けて本来の穏やかさを取り戻しておるんじゃ。君と会う度に過去の引き戻される彼女を、見ていたくはない」
 左之助は、恵を穏やかにする。よく笑い、よく話し、時には弱音を吐く事も出来るようになる。自分との間にはない空気が、あの男との間には流れている。それを察しているからこそ、父親代わりであるこの医師は、左之助を恵の夫に望み、自分が距離を置く事を願う。解らなくはない。
 解らなくはないが。
「腑に落ちんという顔をしておるな」
 蒼紫は表情に出したつもりはないのだが、玄斎はずばりと指摘した。その時、玄斎は初めて蒼紫に笑みを見せた。柔和で、慈愛に満ちた笑みだった。そこには、先程まで蒼紫に嫌悪を剥き出しにしていた老人の姿はない。恵の話に聞いていた温厚な老医師だ。
「君と恵君の間に何があったのかは、わしには解らん。知りたいとも思わん。恵君が自分から話さん限りはね。でも、君にも恵君にも、お互いを傷付けたという自覚があるんじゃろう。わしからしてみれば、君が傷付くのは自業自得なんじゃが、恵君は君の仲間が命を落とした責めの幾らかは自分にあると思っておるようじゃ。わしは、君には出来るだけ恵君に関わらずにいて欲しいと思っておる。が、恵君は恵君で、君に対して思うところはあるようで、そこはわしが口出しするような事じゃない……」
 玄斎は複雑な表情を浮かべて視線を落とした。哀しみや後悔、幾許かの希望が交じり合ったような顔付きだった。庭から、或いは街の何処かから、蝉の声が響いてくる。遠く、近く。あんな騒動があった事など遠い昔の事のように、平穏な夏の午前。玄斎は意を決したように深く息をついてから顔を上げた。
「もし君が……もしも、だが、恵君との事を何か考えているのだとしたら、わしはそれを止める立場にはない。ちゃんと考えてくれているのだとしたら、関わるなとは言わん。だが、その時は、操君との事はきちんと決着をつけておくれ。そうでないのなら、出来るだけあの子を刺激せんようにしておくれ」
「……本当に、高荷恵の幸せを願っているのだな」
「大事なんじゃよ、あの子が。親を亡くした孫娘達にも、母親のように接してくれている。大切な、娘じゃ。傷付く姿をもう見たくはない。苦しんでいる姿を、随分見ているから……」
 四月にこの診療所に来た頃は、度々眠れぬ夜に苦しみ、深夜に庭に出たり散歩に出掛けたりする事があった。生きて地獄に落とされたような日々を思い出していたのかも知れない。それでなくても、彼女は幼い頃に戦争で父親を失い、母やふたりの兄と生き別れて苦難の人生を歩んできたのだ。剣心らが京都に旅立ってからは、ぼんやりとしている事が多くなった。何かを思うように、何かに耐えるように息を止め、唇を噛み締めて胸の前で手を握り締める仕草を何度も見た。京都から帰ってきてからは、明るく振舞っていても何処か塞いでいる様子だった。左之助との会話から、剣心への恋慕に蓋をしたのだと察した。父親代わりの贔屓目かも知れないが、彼女は美しい。それに、真面目で優しい。本来は素直で穏やかな娘の筈だ。それなのに、歪みを抱えている。それは、これまでの人生のせいだろう。美しく、真面目で、優しくて、素直で、穏やかな……まだ若い娘が、何故こんなに苦しまなければならないのか。何故報われないのか。それが納得出来ない。
「君にもし、少しでもあの子を大事に思う気持ちがあるのなら……もう傷付けないでおくれ」
 たとえ、今より距離を縮めるにしても、離れるにしても。
 診療所を出た蒼紫は、ふと空を見上げた。抜けるように青い空。初めてあの女と会った日も、こんな鮮やかな空だった。ただ、凍りつくように空気は冷たかった。




 明治十五年八月、東京――
 蒼穹に光の腕を広げる太陽は、じりじりと地上を照り付け、人々の肌に突き刺すようだった。そんな中でも、蒼紫は表情を崩さなかった。その隣りで、操はぐったりとしまりのない顔をしてのろのろと歩く。
「蒼紫様ぁ、何処かでひと休みして行きましょうよー」
「暑いか?」
「あっつい〜」
「もうすぐ神谷道場だ。そこで休め」
 蒼紫は操の我侭を淡々と受け流した。本当のところ、操は単に蒼紫と茶屋に入って甘いものでも食べたかっただけだ。蒼紫は酒は飲めないが、甘いものは苦手ではない。その程度の蒼紫の嗜好は操も知っている。一緒に甘味を堪能して、他愛もないお喋りに興じる事は、操の憧れでもある。しかし、蒼紫はそんな事はお構い無しで、寧ろ歩みを速める。早く休みたいという操を気遣っての事なのだが、付いて行く操は更に汗をかく事になった。
「いらっしゃい、操ちゃん、蒼紫さん」
 神谷道場で蒼紫達を出迎えたのは、神谷道場の主で神谷活心流剣術道場の師範である緋村薫。その隣りには、ひとり息子の剣路が、薫の着物を握り締めて立っていた。
「あー、暑い! 京都も暑いけど、東京も無茶苦茶暑いねー」
「冷たいお菓子を用意してるから、中でゆっくりして」
 薫に言われるなり、操は草履を脱ぎ捨ててぱたぱたと室内に上がった。しかし、蒼紫は玄関に立ったままだった。
「蒼紫さん?」
「少し、用があるから出掛けてくる。夕方までには戻る」
「えー、蒼紫様、私も行く!」
「お前は、休んでいろ。暑いんだろう?」
 蒼紫ががらりと玄関の引き戸を引くと、外から絡みつくような蒸し暑い空気が流れ込んでくる。まだ、家の中の方が涼しいくらいだ。操は唇を結んだ。「何処へ行くんですか?」「一緒に休みましょうよ」「蒼紫様だって、暑いでしょう?」言いたい言葉を総て飲み込む。
 蒼紫は優しい。冷たいように見せているが、いつも気に掛け、気遣ってくれている。三、四年前より距離も近付いているのではないかと思う。だが、急に眼に見えない壁を作り、操を拒絶する瞬間がある。その壁を感じた時、操はいつも喉まで出掛かった言葉を口に出来なくなる。この壁を取り除かない限り、彼と一緒になっても同じような辛さを味わう事になるのではないかと操は思っているが、その方法は解らなかった。操は黙ったまま、蒼紫の背中を見送った。
 あの夏から、何度東京に来ただろう。そして、何度会津に行っただろう。東京より会津を訪れた事の方が遥かに多い。その殆どが、ひとりだった。操を伴った事は二度あるが、両方とも要らぬ騒動を巻き起こした。その厄介さから、操を連れての会津訪問は控えるようになった。
 それに、操がいると落ち着かない。
 会津には、高荷恵を訪ねている。恵は今、会津で診療所を開いて医者として働いている。相葉健水という会津の男――幼馴染みで、兄の親友だったらしい――を助手として、会津中を奔走している。その上、六人もの子供を養子にしている事に、蒼紫は驚きつつも感心している。長男の征太郎は蒼紫の事を余り好ましく思っていない。恵への愛情が深過ぎる故だ。一方、長女の昴は蒼紫を気に入り、仕切りに「会津にいて欲しい」と言ってくる。次男の光黄は、何を考えているのかよく解らないが、人の心が透けて見えるのかと思う程に勘が鋭い。次女の紫は明るく人懐っこく、蒼紫に対しても好意的だ。三男の達幸は、まだ幼いが、彼の出産に蒼紫は偶然立ち会っており、可愛がっている。三女の楓も赤ん坊だ。人見知りもせず朗らかで、蒼紫にもよく懐いている。蒼紫は全員の事を可愛く思っている。そんな子供達のために何かしたいと自然と考えてしまう。しかし、操がいると思うように子供達と話したり遊んだりする事は出来ないだろう。会津の人々と働く事も難しい。操は常に蒼紫にべったりくっついて、なかなか離れる事がないのだ。それ故に、落ち着かない。
 京都でも多くの時間を操と共に過ごす。操がそれを望んでいるし、それを拒む事はない。だが、操のいない時間の方が穏やかでいられるというのも事実だ。
 蒼紫は小國診療所の前で小さく息をつき、操の事を頭の隅に追いやった。
 玄関を開けると、出掛けようとしていたらしく、草履に片足を引っ掛けていた玄斎が顔を上げた。
「……四乃森君」
 玄斎が目を丸くすると、蒼紫は軽く会釈した。
「何処か悪いのかね? すまんが、わしはこれから往診なんじゃ。涼真君がおるから、診てもらっておくれ」
「いや……」
「涼真君」
 玄斎は言うなり、蒼紫の言葉も聞かずに診察室の方へ声を掛けた。「はーい」と明るい声と共に、あどけない顔付きの青年が顔を出した。
「蒼紫君を診てやってくれんかね。わしはもう行くからのう」
「解りました。行ってらっしゃい」
 涼真と呼ばれた青年は、にこやかに応じる。
「ところで……」
 擦れ違いざまに、玄斎は蒼紫をちらりと見上げた。
「操君も一緒に来たのかね?」
「あぁ、神谷道場にいる」
「そうじゃろうね」
 意味深長な笑みを浮かべ、玄斎はさっさと診療所を後にした。残された蒼紫は意味が解らなかったが、涼真はくすくすとわらっている。蒼紫より一歳年下だが、まだ二十歳そこそこに見える程、顔立ちの幼い青年は、笑うと一層子供っぽく見える。しかし、目付きは落ち着いていて、幼さは感じられない。
「お久し振りです」
「久し振りだな、“今若”」
 蒼紫が応えると、涼真はあからさまにしかめっ面を作って見せた。
「“涼真”です。今の俺は、“白瀬涼真”。明治維新で江戸城御庭番衆が解散した時に御庭番ではなくなったんですから、もうその名で呼ぶのはやめて下さいよ、“蒼紫さん”」
「…………」
 蒼紫は僅かに目尻を吊り上げた。涼真はそれに動じる事なく、柔らかな笑みを浮かべる。
「“蒼紫様”と呼ばれたいですか? でも、もう御頭でもないんですし、俺は御庭番でもないですし、そんな必要はないですよね。そもそも、俺からしてみたら、未だに貴方を“御頭”と呼んで、お互いにふたつ名で呼び合ってる京都御庭番衆の方が変わってると思いますよ?」
 涼真は眉根を寄せて微笑む。蒼紫は表情を変えなかったが、「そうか」と呟いた。蒼紫自身、そう言われれば確かにその通りだと思っている。京都御庭番衆も明治維新の折に解散しているのだが、纏め役であった翁こと柏崎念至があぶれた仲間を葵屋に集めた結果、現在も活動している。特に、明治十一年の志々雄真実の事件での活躍を期に、京都では一層その名を知られるようになった。
「ま、それは兎も角。こんなところで立ち話もなんですし上がって下さい。別に、体調が悪いわけじゃないんですよね?」
「あぁ」
 それが、診療所に来た人間に対する医者の言葉かと内心思ったが、蒼紫は口にはしなかった。
 涼真は、蒼紫を自分の私室に通した。診察室にする事も考えたが、患者が来た時、蒼紫に移動を頼まなければならない。それはそれで面倒くさいと思ったのだった。
「で、今日はどうしたんですか?」
「あやめ達はいるか? 京都で、あやめ達の好きそうな菓子を見付けたから買って来た」
 言いながら、蒼紫は手に提げていた袋を開き、愛らしい犬や猫の形をした砂糖菓子を幾つか取り出した。
「これをあやめ達に? うわぁ、喜びますよ。けど……これを届けにわざわざ来たんですか? というか、これを蒼紫さんが買ったんですか?」
 東京に住む子供のために菓子を買って来いなどと言われて、従う部下がいるのだろうか。涼真は幕末、江戸城御庭番衆の医務方として活躍していた。京都御庭番衆で面識があるのは同じく医務方だった白尉くらいだ。白尉とも仲が良かったわけではないから京都御庭番衆がどんな風で、どんな人員がいるのかは解らないが。尤も、江戸城御庭番衆であればそんな事を頼まれても黙って従う者が多かった事を考えると、案外快く買いに行くのかも知れない。
 蒼紫は涼真の問いには答えなかった。興味はあるが、涼真自身、それ程重要な事とは考えていなかったので、それ以上追求はしなかった。
「お預かりしますね。でも、残念ですけど、あやめもすずめも今遊びに行っているんですよ。あやめは央太君と一緒じゃないかな。神谷道場の門下生で、東谷央太君という男の子がいるんです。あやめはその子にほの字らしくって」
「あやめが……?」
 蒼紫は僅かに瞠目した。
「東谷央太……名前は聞いた事があるが、覚えはないな。まともな男なのか?」
「まともって……まだ子供ですよ。娘を嫁にやる父親みたいな事を言いますね。この話したら、恵先生も興味津々でしたけどね。恵先生はあやめ達の母親みたいなものだから、気になるのは解りますけどね。あやめとすずめを入れて十人の子供がいるなんて、凄いですよね」
「十人?」
 あやめ、すずめ、征太郎、昴、光黄、紫、達幸、楓……八人だ。蒼紫は首を傾げる。その様子を見て、涼真は得心したように頷いた。
「知らないんですね。増えたんですよ、子供。先月の事ですけどね。昴と同い年の瀧尋と、紫の二歳年下の葉月。両方男。正蓮団絡みらしいから、一度逢いに行こうと思ってるんですよ。紫にも未だ会った事ないですしね」
 涼真は菓子の箱を取り上げ、色々な角度から眺めた。見れば見る程愛らしく、蒼紫の雰囲気からは程遠い。誰かに買いに行かせたにしろ、自分で買ったにしろ、これを蒼紫が見付けてあやめとすずめにやろうと、やりたいと思った事が意外だった。
「凄い女だな……」
 六人だろうが八人だろうが大した変わりはない、などとはとても思えない。あの荒れ果てた土地にいて、子供をひとり育てるだけでも大変だろう。食費だって随分掛かる筈だ。それが、六人というだけでも途方もない数だと思っていた。それなのに、一度にふたりも増えるなんて考えられない。どういう事情でそうなったのかは解らないが、恵はその内会津中の孤児を養子にしてしまうのではないだろうか。ある見方をすれば無責任なのかも知れない。けれど、恵は見過ごす事が出来ないのだろう。総てを救う事など出来ない。医者としても、親としても。それでも、自分の出来る限りの事をしなくては納得出来ない。それが高荷恵という女だ。
「凄いですよ。恵先生は。子供達もみんな可愛くて良い子です。それに、今では俺の方がずっと長くあやめやすずめと一緒にいて、本当に娘みたいに可愛いなって思ってるのに、あやめ達は恵先生の方を親だと思ってるんですから。恵先生が此処にいたのって、半年足らずの事なのに……影響力あり過ぎるんですよ、あの人」
「高荷の子供達に会った事があるのか?」
「俺も会津行った事ありますから。それに……子供達が結構頻繁に手紙をくれるんです。恵先生も月に一度は必ず手紙を送ってくれますしね。偶にですけど健水からも来ます。あやめとすずめは兄弟が増えたっていつも喜んでますよ。子供達……特に紫があやめ達に会いたがってますしね。征太郎も、昴も、光黄も、紫も、達幸や楓も、未だ恵先生の養子になって間もない瀧尋や葉月さえも、みんな恵先生の事が大好きで、恵先生の力になりたいと、幸せであって欲しい……みんなで幸せになりたいと、そんな文を寄越してくるんです。楽しそうに文通していますから……よく知っていますよ、俺も、玄斎先生も。……貴方がいつ会津に行ったのか。会津で何をしたのか」
「…………」
 強い風が窓から吹き込んでくる。庭で青葉がざわざわと音を立てた。
「だから、玄斎先生はあんな事聞いたんですよ。操さんと一緒なのかって」
 文通と玄斎の問いが、直接繋がりを持っているとは思えず、「だから」と言われても蒼紫にはすぐにその事情は飲み込めなかった。だが、子供達が何を書いていたかは知らないが、余り良い印象を持たれているとは思えなかった。征太郎が、不満を漏らしていたのかも知れない。
「あぁ、誤解しないで下さいね。手紙を一番よく送ってくれるのは昴で、昴は蒼紫さんの事、凄く良く書いてますから。でも……手紙に度々『蒼紫さんが来た』って書かれてるとね。玄斎先生でなくても思いますよ。操さんとの事はどうなってるんだ、って……」
「操は、先代の孫だ」
 蒼紫は迷いもなく、きっぱりと答えた。そのくらいの事は、涼真も知っている。幕末に御庭番にいた人間であれば、当然のように知っている事だ。先代の御頭は、孫娘の操の事を溺愛していた。そして、蒼紫が御頭になる際、操の事を託した。はっきりした事は言っていなかったが、誰もが蒼紫と操が将来結婚するという約束だと疑わなかった。だから涼真は、蒼紫が東京から京都に移り、操と暮らしていると知った時、てっきりもう纏まっているか、その準備にでも入っているものと思っていた。
「それだけ、ではないですよね。操さんは蒼紫さんの事が好きなわけでしょう? だから玄斎先生は、四年前、もし恵先生との事を考えるなら、操さんとの事には決着を着けるように言ったわけで。でも、操さんとの関係を解消しないまま恵先生の元へ通っている……矛盾していると思われても仕方のない事ですよ。少なくとも、俺も玄斎先生も、恵先生の事を大事に思ってますから、あんまり今の状態を好ましくは思えないですね。……なんて話を、昴達からの手紙が来る度にするんですよ。特に俺は、ルートヴィッヒの想いも背負ってるんで」
「ルー……ト……?」
 耳慣れない言葉に、蒼紫は首を傾げた。
「ルートヴィッヒ・リューゲン。光川流弦の……“三日月”の本名です。知らなかったんですか? “リューゲン”が姓なのに名前だと勘違いされて、“流弦”と名付けられたそうですよ」
 流弦――“三日月”。
 その名を涼真が口にした瞬間、僅かに悪寒が走った。観柳邸で偶然再会したかつての部下。涼真と同じく、明治維新の江戸城御庭番衆解体の際に市井に下りた者の内のひとりだ。鮮やかな金色の髪と碧い瞳を持った密偵方の青年。観柳邸で恵の恋人だった男。そして、蒼紫が腹心の部下である般若に命じて恵の前から消し去った男。
「ルートヴィッヒは俺の親友です。あの邸での事も、恵先生との事も聞いていました。ルートヴィッヒは誰よりも恵先生の事を大切に思い、幸せを願っている……。だから、俺も恵先生が幸せであるように協力したいと思ってます。勿論、そればかりではないですけどね」
「それで、此処にいるのか」
「色々あったんです。恵先生の事を憎んでいた時期もありますしね。でも、恵先生と会って、話して、その人柄に触れたら、憎しみなんて消えて行きました」
 涼真は穏やかに語る。だが、流弦の存在が思い掛けず近くにあった事に、蒼紫は驚いていた。かつて御庭番衆に属していた百を超える人間の中に、流弦の事を知る者は幾人かいるだろう。京都御庭番衆の近江女も知っている筈だ。だが、流弦と恵の関係を知る者はいない筈だった。流弦が邸の外の人間と通じている事など考えもしなかった。
「恵先生からも、ルートヴィッヒの話は聞いていますよ。あの邸で起こった事も、ね。そう……腑に落ちないことがあるんです」
 穏やかで柔和で、幼ささえ感じた涼真の瞳が、突如冷たく輝く。蒼紫は静かに涼真を見詰め、続く言葉を待った。涼真は言葉を選んでいるのか、何かを考えているのか、やや間を取ってからそっと唇を開く。
「“アレ”使いましたか?」
 迷った割りに、出て来た言葉は抽象的で、蒼紫は俄かにその言葉の真意を掴む事が出来なかった。
「恵先生の話を聞いて、気になったんです。御庭番の密偵方では当然のように使われていたので、もしかして、と思ったんですよ。そう考えれば辻褄が合いますし」
「何の話をしている?」
「子供の話です」
 涼真は冷静さを装った口調で語るが、感情が微かに滲み出している。怒り、苛立ち、憎悪……そういったものが。涼真の言う“アレ”をもし使っていたとしたら、その何処へ向ければ良いのか解らずにいる感情の総ては蒼紫に向けられる事になるだろう。
 蒼紫は答えなかった。否定も肯定もしなかった。
 否定しないという事は、肯定という事か。真夏だというのに、部屋に冷ややかな空気が流れる。涼真の隠しようのない感情が、蒼紫には手に取るように解った。だが、それでも蒼紫は何も言わなかった。
 どれ程そうしていたか。
「ただいまー」
 玄関から明るい少女の声が飛び込んできた。すずめだ。その瞬間、涼真はぱっと表情を崩し、普段の幼さの残る笑みを見せた。
「お帰り、すずめ。俺の部屋においで。お客さんがいるよー」
「はーい」
 ぱたぱたと軽やかな足音が響いてくる。
「ただいま、涼真兄。あー、蒼紫兄だー!」
 顔を出したすずめは、以前見た時より背や髪が伸び、顔付きも変わっている。長い髪は丁寧に編んで、結び目には小さな花の飾りを付けている。
「お土産だ、すずめ」
 飛びついてきたすずめに、蒼紫は菓子を差し出す。膝に座り、菓子を嬉しそうに眺めるすずめの頭を撫でながら、今度は京都の小間物屋で髪飾りを買ってやるのも良いか、などと考える。
 そして、他愛もない事を考えながらも、恵の顔を思い浮かべては小さく胸を疼かせる。恵が本来手に入れる筈だった幸せ。気付くのが遅過ぎた。御庭番の常識が世界の常識だと思っていたが、そうではないと思い知らされたのは数年前の事。切欠は近江女の言葉だった。
「涼真兄、恵姉からのお手紙来た?」
「今日は来てないよ」
 涼真はすずめににこやかに答えてから、「毎日のように聞くんですよ」と、蒼紫に困ったように笑って見せた。
「すずめは、高荷恵を好きか?」
「うん、大好きー。すずめのお母さんだから! 征太郎兄達にも会いたいし、恵姉、遊びに来てくれないかなー」
 すずめが屈託なく笑う度、静かで温かな想いが胸に沸く。この笑顔が、あの女に届くように。辛くても苦しくても微笑み、耐え続ける女に。




 誰もが、その幸せを願っているのだから。

fin
幸せであるように。
ただ、幸せであるように願う。
遠く離れていても、貴方は家族なのだから。



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